2019.9.30
経済・ビジネス

「不動産テック」の先駆者アメリカにおける実例3つから日本の不動産業界の未来をうかがう

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
不動産業界をテクノロジーの力で、より効率的でオープンな市場にしようという流れが世界で広がっています。この潮流がReal Estate Technologyとも呼ばれる「不動産テック」です。本記事では不動産テックの動向についてアメリカと日本の違いを説明し、現在ならびに今後の日本の投資事業とも関わるアメリカの不動産テックサービスを3つ紹介します。

アメリカの不動産テックと日本の不動産テックの違い

現在の不動産テック分野を圧倒的にリードしているのはアメリカです。世界の不動産テック関連企業の数は3,000社以上、そのうち1,000社を超える数がアメリカに本拠地を置いているといわれます。事実、アメリカの調査会社VENTURE SCANNER作成のカオスマップ最新版には1,800以上の不動産テックサービス・企業が掲載されています。2018年時点で全世界の不動産テック企業へのスタートアップ投資は5,000億円超とされ、このうち半分はアメリカ企業への投資といわれているのです。

一方、日本において一般社団法人不動産テック協会が公開する最新版不動産テックカオスマップに掲載されているサービス・企業は400社に満たない状況です。また不動産テックを分類した12のカテゴリもアメリカと日本では若干の違いがあります。例えばアメリカには自分の住む住宅を自分好みにアレンジ(改築・改装)していくDIYの文化があり、それに伴いDIYに特化した不動産テックカテゴリがあります。しかし日本には住宅の価値基準がアメリカと異なることや地震の頻発を理由に、住宅を自分の手で改築する文化は根付いていません。このような事情を鑑み、日本における不動産テックカテゴリは日本の不動産事情に見合った分類になっているのが実情です。

とはいえ、アメリカの不動産業界も従来は保守的な傾向が強かったと言われています。ICT活用による「不動産テック」が登場してから、アメリカの不動産業界には新たなビジネスの枠組みが次々に登場して現在に至ります。また多額の出資が話題になることも多く、このマネー流入がさらに不動産テックを加速化させています。日本において不動産テックが今後浸透すれば、現在のアメリカと同様、不動産に関わる従来に無い枠組みや価値が現れ、それがFintechなど新たなITビジネスとの相互作用でより大きな市場を作る可能性もあります。

以上のことから、現在のアメリカにおける不動産テック動向を知ることで日本の不動産ビジネスの近未来が見えてくるのではないかと考えられます。

アメリカの注目不動産テック企業3社

不動産テックの分野ではアメリカに水をあけられている日本ですが、投資元として影響力があります。その代表がソフトバンクグループ(SBG)の投資ファンドであるソフトバンク・ビジョン・ファンドです。アメリカの不動産テック企業に次々に投資を進め、その対象企業はオフィスシェア事業のウィーワーク、デジタル仲介のコンパス、デジタル再販のオープンドアなどとなっています。

とくにウィーワークへのSBGの投資は巨額で関連会社を含め総額70億米ドル(1米ドル106.12円で約7,428億円:2019年8月26日時点)に達する投資を実施しています。2019年段階)。SBGをはじめ、数多くの企業や投資家からの支援を受けてさらに躍進するアメリカの不動産テック企業群。その中の注目企業3社をご紹介します。

Compass(コンパス)

コンパスは、都市部の高級不動産をテーマにする不動産会社。ソフトバンク・ビジョン・ファンドによる4.5億ドル(約500億円)の出資を成長エンジンに急成長を果たしたことで知られます。

2012年設立と歴史は浅いですが、不動産業界での存在感を急速に増しています。同社には1万人以上のエージェントが所属すると言われます。コンパスの武器は、エージェントの業務サポート力。自社開発のツールやマーケティング専門チームがエージェントの営業生産性アップを推進します。

Opendoor(オープンドア)

オープンドアはコンパスと同様、SBGから資金調達したことで話題になりました。デジタル再販分野のリーダーカンパニーがオープンドアです。デジタル再販とは、AIによる物件の価格査定を行い、スピーディに住宅を購入、転売することで利益を得るスキームです。

オープンドアの特徴は、売主・買主の仲介プラットフォームにとどまることなく、中古物件を自社で直接取り扱っている点です。売却までのプロセス(物件査定・売買契約・支払いなど)を可能な限り簡便化しているところが画期的です。例えば自宅を売却したい人が物件の情報をオープンドアに提供すると、オープンドアは市場の価格データなどと照合し(アメリカは不動産価格や取引情報の透明性が高い)、買取価格を提示します。売り手とオープンドアで物件価格などに合意が成立すれば、その時点で売買契約が締結されます。オープンドアの場合はさらに、相場より安い手数料も魅力でしょう。支払いもスムーズで数日以内に売主の指定口座に振り込まれます。

一方、買主に対しても入居後30日の保証期間を設けて安心感を醸成しています。この保証期間があることで「もしも購入後に住んでから瑕疵や不満点が出てきたらどうしよう」という買い手の不安を払拭でき、売買における潜在的なリスクを最小限に抑えることができます。

Redfin(レッドフィン )

レッドフィンは不動産情報を検索できるメディアサイトでありながら、みずからもエージェントを抱えて不動産仲介業をしていることが特徴です。これにより、広告料頼みではなく、仲介手数料をメインにしたビジネスを実現しています。

もうひとつのレッドフィンの特徴は、それまでの業界スタンダードだった「手数料をもとにした報酬体系」ではなく「顧客満足度をもとにした報酬体系」を採用した点。利用者ニーズがサービスに反映されやすい仕組みとなっています。

ここで紹介した3社は不動産テック企業のごく一部です。アメリカで新しいサービスが次々に生まれ、その一部は時間差で日本でも広がっています。アメリカの不動産テックは、日本の不動産業界の少し先を映す鏡になるため、不動産ビジネスに携わる人や興味のある人はアンテナを張っておくのが賢明です。

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