2020.10.28
経済・ビジネス

日本初の総合取引所誕生……背景をわかりやすく解説 商品先物は身近になるか

(写真=Tony/stock.adobe.com)
(写真=Tony/stock.adobe.com)
2020年7月27日、東京商品取引所から大阪取引所にコモディティデリバティブの移管が行われ日本初の総合取引所が誕生しました。ただ普段デリバティブ商品となじみのない個人投資家の場合、あまり実感が湧かない人も多いのではないでしょうか。本記事では、コモディティデリバティブや総合取引所の概要について分かりやすく解説します。

コモディティデリバティブの意味をわかりやすく

まず「コモディティデリバティブ」というキーワードを理解しやすくするために「コモディティ」と「デリバティブ」に分けて考えていきます。個人投資家であればおおまかな意味はご存じかもしれませんが、改めて整理してみましょう。

コモディティとは?

コモディティとは「商品」のことです。金融市場で株式を売り買いしてボラティリティ(値動き)が発生するように商品市場ではモノの売り買いで価格変動が生まれます。商品市場で扱われるのは、石油や電力などのエネルギー、金・銀などの貴金属、大豆・小豆・とうもろこしなどの農産物など世界中の産業に欠かせないモノです。

デリバティブとは?

デリバティブは「派生商品、2次的に発生していること」です。株価・金利・債券・為替など特定のテーマと強い連動性があるのがデリバティブです。例えば、債券の価格との連動性があれば債券デリバティブとなります。先物取引やオプション取引などの取引形態で効率的な運用ができるのも特徴です。

コモディティデリバティブとは?

コモディティ(商品)とデリバティブ(派生商品)ですから「農産物や貴金属などの商品値動きと強い連動性のある取引」ということです。一般的にデリバティブ商品を大別すると「金融デリバティブ」「コモディティデリバティブ」「エネルギーデリバティブ」に分類されます。

コモディティデリバティブを大阪取引所に移管……その意味は?

今回は、コモディティデリバティブが東京商品取引所(TOCOM)から大阪取引所に移されました。もともと大阪取引所は金融デリバティブを扱っていたため、コモディティデリバティブと金融デリバティブの両方が扱える総合取引所になったのです。利用者の立場で見るとこれまでコモディティデリバティブは東京商品取引所、金融デリバティブは大阪取引所と使い分ける必要がありました。

しかし移管によってワンストップで取引できるようになり利便性が増したのです。なお今回の移管に原油先物や電力先物などは含まれていません。東京商品取引所は、エネルギー・デリバティブに特化した市場になります。ちなみに今回、大阪取引所に移管されたコモディティ・デリバティブは以下の通りです。
 
貴金属市場 金標準先物、金ミニ先物、金限日先物、金先物オプション、銀先物、白金標準先物、白金ミニ先物、白金限日先物、パラジウム先物
ゴム市場 ゴム(RSS3)先物、ゴム(TSR20)先物
農産物市場 一般大豆先物、小豆先物、とうもろこし先物
引用:日本経済新聞「コモディティー投資の魅力」

総合取引所誕生でコモディティデリバティブ市場が活性化?

総合取引所誕生によって市場関係者側のメリットもあります。例えば金融デリバティブを扱っている投資家にコモディティデリバティブを身近に感じてもらうことで取引量拡大につなげられる可能性があるというものです。メリットというよりも思惑といったほうが正しいかもしれません。ここでいう投資家とは、個人投資家だけでなくファンドや金融機関も含めたものです。

日本経済新聞は、大阪取引所代表取締役・山道裕己氏にスペシャルインタビューを行っています。同インタビューによると「世界のデリバティブ市場は拡大傾向にもかかわらず国内のコモディティデリバティブ市場は縮小傾向にある」とのこと。さらに「今回の総合取引所の誕生は市場を盛り上げていく起爆剤になる大きな可能性」と語っています。

コモディティデリバティブ市場が縮小している一因は?

端的にいうと国内でいま一つ盛り上がらないコモディティデリバティブを「総合取引所へ転換して何とかしたい」ということでしょう。では、なぜ日本のコモディティデリバティブは停滞しているのでしょうか?その理由をここでは、個人投資家にフォーカスして見ていきます。一因として過去に商品先物取引(コモディティーデリバティブ)を扱う悪徳業者が蔓延したことが挙げられます。

そのため一定の年齢以上の個人投資家が商品先物取引に悪いイメージをもっている可能性もあるでしょう。京都第一法律事務所の奥村一彦弁護士が公式サイトで紹介するケーススタディでは、商品先物取引の悪徳業者の典型として、以下のようなケースがあげられています。
  • リスクを隠したうえで「半年で800万円儲けさせてみせます」「安全な取引をするのですから大丈夫」と魅力ばかり強調するセールストーク
  • 売建と買建の両方を建てて儲けの出ている側だけを決済して利益が出ているように見せかける手口
  • 証拠金が足りない追加で払わなければ巨額の損失になるという通告
こういった商品先物取引の悪徳業者の手口は、過去にメディアなどで繰り返し取り上げられてきました。そのため「商品先物取引(コモディティデリバティブ)=怖いもの」というイメージが社会に根強く残っている可能性があるのです。

デリバティブ独特のルールも個人投資家が敬遠する理由か

コモディティデリバティブを敬遠する個人投資家がいるもう一つの理由としては、デリバティブ商品独特の取引ルールが一因といえそうです。ルールが理解しにくいため「コモディティを含むデリバティブ商品に垣根を感じる」という個人投資家も少なくありません。例えばデリバティブは「決済日があらかじめ決まっている」というルールがあります。

株式取引の場合、現物であれば決済期限がないため投資家のタイミングで売却が可能です。また信用取引の株式売買でも「一般(無制限)」の期限を選択すれば長期保有することができます。また取引方法も株式とは大きく異なっていることも特徴です。デリバティブ商品の取引方法には、株式でも使われている先物取引以外にオプション取引とスワップ取引などがあります。

例えばオプション取引とは将来、あらかじめ決めた値段で「買い付けの権利」または「売り付けの権利」を売買することです。株式投資や不動産投資が身近になってきた個人投資家に対してこういったデリバティブの取引方法の理解をいかに広げていくか……これも今後この市場が発展していくための課題になりそうです。

手間なくはじめたいなら商品指数と連動するETFも

本稿は、コモディティデリバティブを推奨することを目的にしていません。しかし分散投資を意識するのであれば株式・債券・現物資産などのほかに金融デリバティブやコモディティデリバティブを加えることも一つの選択肢といえるでしょう。特にコモディティデリバティブは金融商品との連動性が低いと一般的にいわれるため、金融危機のときのリスク回避に貢献する可能性があります。

しかしデリバティブ商品をはじめるには手間と心理的なハードルがあるでしょう。手間なく商品取引をはじめたい人は、株式口座があれば取引できる特定の商品指数と連動するETF(上場投資信託)を購入することも一つの方法です。

※ドル建てのコモディティ型ETFの場合、為替リスクもあります。慎重な判断が必要です。


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