2018.11.3
インタビュー

不動産投資は都心にすべきか?準都心にすべきか?ベテランコンサルの視点

(写真=野村不動産アーバンネット・資産コンサルティング部所属 宮澤大樹さん)
(写真=野村不動産アーバンネット・資産コンサルティング部所属 宮澤大樹さん)
現在の不動産投資の物件選びでは、「人口減→都心にこだわるべき」「物件価格が割高→準都心にすべき」という意見があります。実際はどちらの意見を採った方が、経営が安定したり、リターンが拡大したりするのでしょうか。野村不動産アーバンネット・資産コンサルティング部所属の宮澤大樹さんに、判断するためのヒントを聞きました。

投資で何を重視するかで選ぶべき立地は変わる

━━最近の不動産投資の物件選びにおいては、2つの代表的な意見があります。それは、「都心のメリットが大きい」「準都心のメリットが大きい」というものですが、正しいのはどちらでしょうか。

どちらがいいかは、その方が「不動産投資で何を重視するか」によって変わります。これは具体的なケースをイメージして考えていくとわかりやすいでしょう。

例えば、同じ「不動産投資を通して資産形成をすること」でもニーズは様々です。家賃収入のインカムゲインを重視する方、売却益のキャピタルゲインを重視する方、もしくはその両方を狙いたい方もいらっしゃるでしょう。

さらに、そのうち「インカムゲイン重視の方」に絞っても、どの程度の利益を得たいかはそれぞれ違います。「利益が少なくても安定した利回りが欲しい方」もいれば、ある程度のリスクを許容してでも「利回りの高さにこだわりたい方」もいらっしゃいます。

利回りの高さにこだわる方であれば、都心の物件だと利回りが低いことも多いので、場合によっては準都心の物件を狙う必要も出てきます。逆に、安定した利回りが欲しい方であれば、物件価格は多少高くても、空室リスクの少ない都心の物件を狙っていくのが賢明とも考えられます。このように、大きな目標は同じであっても、ニーズが違うと立地に対する考え方は根本から変わってきます。

━━表面的な部分だけを見て「この立地は良い、あるいは、悪い」と単純に考えるべきではないというわけですね。

その通りです。また、不動産投資を通して資産を形成するのではなく、守っていきたいという層も存在します。いわゆる、不動産購入によって(相続税評価額上の)資産を圧縮し相続対策をしたいという方です。この様な方にとって不動産投資の利回りは最も重要な要素になりません。むしろ、準都心や地方の物件は「利回りが高い(不動産価格が安い)ことが多い→相続対策の効果が薄い」ので避けるべきという結論になります。それよりも都心の一等地にある物件が好まれるのです。

━━投資を行う人の状況により、選択肢が変わってくるのですね。矛盾する質問のようですが、都心に絞ったとき、注目のエリアというのはあるのでしょうか。今、立地選択で悩んでいる投資家は本当に多いと思いますので、あえて表面的な傾向も伺いたいのですが。

誰もが狙うべきエリアを断言するのは難しいんですが、それを前提にしつつ、「個人的に気になるエリア」という視点でいえば、国際戦略総合特別区域の1つである「アジアヘッドクォーター特区」が挙げられます。

この特区は、海外からの企業を誘致し、それにともなって日本に移住する外国人の方が過ごしやすいように施設や病院、住居などを整備する、という目的のもとに開発がすすんでいます。

臨海地域、渋谷駅周辺、品川駅周辺などがこの特区にあたり、継続的に開発が行われていることから、注目しています。山手線の新駅設置や渋谷駅前の再開発などは、様々なメディアで取り上げられているので聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

利便性の高い場所に人が集まり、需要が生まれる

━━不動産投資をする時、再開発が行われるエリアには注目すべきでしょうか。

長年、不動産業界に関わってきた経験から「再開発エリアに注目すべき」と言えます。あるエリアの地価が一時期の3分の1程度まで下落したことがありました。普通、そこまで地価が落ちると盛り返すことは難しいんですが、あらたに再開発の話が持ち上がった途端、相場が持ち直しました。

人の動き、というのは利便性の高い場所に発生するものです。先ほど触れたアジアヘッドクォーター特区のように、駅、病院、飲食店などのサービスが集まる場所に人も集まります。それによって、不動産の需要が高まるわけです。

逆に、人がいないと分譲マンションなどの需要がないということになります。需要がなければ、どんなにいい機能をもった物件でも投資をする価値はありません。再開発などで利便性が大きく向上することが予想されるエリアは「人が集まる」という意味において、注目しておいて損はないと言えるでしょう。

━━そういった再開発の情報は、不動産投資を行う人はよりアグレッシブに収集していくべきですか。

周囲よりも情報を早くつかむことは大切ですが、再開発プロジェクトが実際に動きだすのには少し時間がかかるので、情報収集の素早さにこだわりすぎなくてもいいと思います。

投資の中でも、不動産投資は情報収集の素早さを重要なファクターに考えなくてよいという特徴があります。これが株式投資であれば、大きな動きがニュースになった時点で出足が遅いということになりかねません。不動産投資においては、新聞やニュースをチェックするなど一般的な情報収集をする程度で十分だと思います。

一方で、不動産会社のコンサルタントから現場目線の情報を収集することも、もちろんプラスになります。そういう意味で、弊社や私のような人間を使い倒していただきたいですね。

都心、準都心という見方だけではチャンスを見逃しやすい

━━再開発においても、やはり注目は都心になりますか。準都心などはあまり気にしなくていいのでしょうか?

そうとも言い切れません。一時期「職住近接」という言葉が流行っていたと思います。職場と住居の距離を近づけて、通勤にかかる時間を減らそうという提言でした。しかし、現在では、テレワークなどに代表される出社せずに勤務するスタイルも広がっています。これによって、ライフスタイルの選択肢がますます増えていくことは想像にかたくありません。

このようなことを意識すると、ビジネスパーソンが住居に選ぶエリアは職場に近い都心という流れは残りつつも、準都心の魅力的な立地を選ぶ方も多くいらっしゃるでしょう。そのため、準都心や都心といった大雑把な捉え方ではなく、面よりもむしろ点でエリアをチェックしていかないとチャンスを逃してしまうことになるかもしれません。

━━都心、準都心にこだわりすぎず、より細かい視点で見ていった方がいいのですね。ほかに気をつけるべき点はありますか。

あとは、「投資をする方が慣れ親しんだエリア」というのも重要です。仮に、もし私自身が初めて不動産投資を行うとしたら、まったく知らない土地でいきなり不動産投資を行うのには抵抗があります。

例えば、神奈川出身の方や神奈川に住んでいる方なら、なんとなく感覚で、県内の人気のエリアを感じることができます。しかし、これが別エリアになると話は別です。神奈川の方が埼玉に投資する時、土地勘がなければ再開発のニュースだけで不動産投資の大きな決断をすることになりかねません。

しっかりコンサルティングをしてくれる人がいる、あるいは、不動産投資家としての経験値があれば話は別ですが、ビギナーの方がご自身だけで判断されるなら、慣れ親しんだエリアというファクターは重要視すべきでしょう。

一棟物件は「住宅系か、オフィス系か」で考え方が変わる

━━細かい話になって申し訳ありませんが、購入する物件が一棟物件になると、これまでのお話と違う部分もでてくるのでしょうか?

いえ、区分も一棟もほとんど同じと言えます。ただ細かく言うなら、一棟でも「住宅系か、オフィス系か」で違いがあります。例えば、賃料という軸で考えると、住宅系はオフィス系と比較して、年数が経ってもそこまで大きくは変わりません。一方、オフィス系は大きく変わる可能性を否定できません。

また、住宅系であれば、人間の生活に住まいは必須なので、人が集まる場所には需要があります。これに対して、オフィス系は交通の利便性や取引先企業との距離など、他の要素にも影響されます。オフィス系は他にも、景気動向によって入居していた企業がより賃料の安い場所に移転せざるをえなくなったり、場合によっては、倒産したりするリスクもあります。

こういったことを踏まえると、オフィス系は住宅系とは違った側面からの見方も必要となります。

━━ここまでお聞きすると、住宅系の優位性を感じましたが、いかがでしょうか。

ここもはっきりとは言えない部分です。冒頭でお話したテーマと同様、求めるもので違いが出てくるからです。

住宅系であれば、魅力ある立地なら入居が決まりやすい魅力はあります。ただし、入退去が頻繁に繰り返されれば、その都度、原状回復のための費用が発生することも意識したいところです。

一方、オフィス系であれば、契約内容によるものの、ほとんどの場合スケルトン渡しでの退去となります。入居者側で設備等が何もないスケルトンの状態にして退去するので、投資家としてはある程度、手放しで運用できる訳です。

━━手間をかけたくない方には、オフィス系も魅力があるわけですね。

ほかにも、物流の中継地点となるエリアであれば、ロードサイドの物件というのは非常に価値があります。

国道などから入りやすく、広い土地のある場所というのは都心にはなかなか用意できないので、ある程度郊外、または地方に設置することになる。そうすると、「一棟物件は都心にだけ手堅い需要がある」とは一概に言えなくなります。

そのため、投資を行う人がどのような目的で物件を購入したいか、また、管理やリペアの手間をどう考えるかなど、その人に合わせた方針を考える必要があります。

とはいうものの、ご自身だけで「投資に何を求めるか、何を重視すべきか」などを整理するのは大変です。私たちのようなコンサルタントを上手く使っていただくことで、改めてご自身の目標やニーズを整理し、不動産投資を進めていくのが賢明な選択と言えるかもしれません。
 

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