2018.10.30
相続・不動産

「名義株」放置のリスク。相続時の追徴課税や名義人の権利主張も

(写真=oneinchpunch/Shutterstock.com)
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中小企業の株式には身内から名義だけを借りている「名義株」というものが存在することがあります。名義株とは、株の名義人と真の所有者が一致しない株式のことです。以前は、会社設立時に7人以上の発起人が必要でした。これをクリアするため、兄弟や親戚など懇意にしている人に名義だけを借りるケースが見られたのです。

名義を借りた側も貸した側も「名義を貸し借りしただけだから……」という理由でその後放置してしまうこともありますが、将来的にリスクに発展する可能性もあるため要注意です。本稿では名義株のリスクと対処法について解説していきます。

相続発生前に名義株は整理するべし

例えば、被相続人(経営者)が亡くなり、相続時の税務調査で相続人(子)名義の名義株の存在が発覚すると、「名義株の真の所有者は被相続人(経営者)である」と指摘される恐れがあります。それにより、相続人(子)に追徴課税などの予想していなかった相続費用が発生する可能性があります。

このような事態に陥らないよう、名義人を真の所有者である被相続人(経営者)に名義を事前に変更した上で相続対策を行うことが賢明です。ただし、名義株だからといって、名義を無断で変更することはできません。名義を借りている方(この場合は子)に連絡して、書面を取り交わしてから名義を変更しましょう。

このような手続きを面倒と考える方もいるかもしれませんが、名義株は経営者が存命中に整理するのが得策です。なぜなら、代替わりをしてしまうと、名義を借りた人が株主になった経緯がわからなくなり、交渉が難航する恐れが出てくるからです。

名義株の名義人が権利を主張し始めるかもしれない

リスクは追徴課税だけに止まりません。会社法では、株式会社は株主名簿を作成して、これに株主の氏名又は名称及び住所などを記載し又は記録しなければならない、と規定されています(121条)。名義株を放置することによって、名義株の名義人から「自分は正規の株主だ」と権利を主張されてしまう可能性もあります。

権利のない人が株式を所有しているといっても、わずかな比率であれば問題ないと考える方もいるかもしれませんが、例えば、わずか3%以上の株式を保有しているだけでも株主総会招集請求権(同法297条)や役員の解任請求権(同法854条)など、経営に大きな影響を及ぼす請求が可能になる場合もあります。このようなリスクをなくすには、やはり名義株はなくした方が望ましいと考えられます。

名義株の名義を変更する具体的な方法について

実際に名義株の名義を変更する流れを確認しましょう。まず、株主自体が誰なのか把握できていない場合は会社の株主名簿でメンバーを確認します。その中に名義を貸しているだけの人がいると思われる場合は、次のような事実関係によって判断します。
  • 誰が会社設立時の出資金を払い込んだか
  • その人に株主総会の招集通知が送付されているか
  • その人が株券を所有しているか
  • 配当金を出している場合は受け取っているか
これらに該当しない場合は、その人が名義を貸しているだけの可能性が高くなります。その場合は名義人に連絡をとり、承諾書を得てから名義変更を行います。これを拒否された場合は、次のような対処が考えられます。
  • 名義変更の承諾料を払う
  • 名義株式数を制限する
  • 議決権を制限する
  • 株主権確認訴訟を提起する

名義株の整理で困った際には専門家のサポートを受けるのも吉

名義株は、会社の将来に影響を与えかねないマイナス要因です。交渉がスムーズに運ばない場合、あるいは、慎重に交渉を進めたい場合は、弁護士や行政書士、税理士などの専門家のサポートを受けるのが望ましいでしょう。

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