2019.4.25
相続・不動産

資産管理会社による相続対策 「建物所有方式」を選ぶとメリットが大きい理由

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
富裕層の方であれば、資産管理会社(プライベートカンパニー)を立ち上げて不動産などの資産を所有すると「所得の分散や相続対策で効果がある」といった話を聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、実際に資産管理会社で不動産を管理・所有する場合は、いくつかの方式があります。どれを選べばよいか考えてみましょう。

資産管理会社の不動産の管理・所有には4つの方式がある

資産管理会社で不動産を管理・所有する方式には、次の4つがあります。

管理受託方式

不動産の所有者は変更せずに、管理会社が行っている賃貸管理や賃借人募集などの管理業務だけを資産管理会社が担う方法です。たとえば、親が所有している収益物件を資産管理会社で管理し、その収益から子どもなどに給与を払う方法になります。仮に請け負う管理手数料を5%に設定し外部に3%で委託した場合、その差の2%が資産管理会社の収入となるといったイメージです。

サブリース方式

資産管理会社がサブリース会社として物件の管理を行います。たとえば、親が所有している収益物件を管理会社が一棟丸ごと借り上げて、入居者と賃貸借契約を結ぶというものです。資産管理会社には、空室時の家賃保証分のリスクが生じますが、継続的な手数料が得られるので、管理方式より収入は大きくなります。

建物所有方式

資産管理会社が建物を買い取って所有者になり、管理業務を行う方法です。管理方式やサブリース方式と違い、家賃の100%が資産管理会社の収入になります。ただし、地代は発生します。たとえば、親が所有する土地に、資産管理会社が所有する収益物件を建てるといった方法です。資産管理会社から子どもなどに給与を払うことが可能です。

注意点としては、地代の設定額が低くなりすぎないよう配慮が必要です。具体的には、贈与と見なされないよう「権利金を支払う」あるいは「通常よりも割高な相応の地代を設定する」の選択が考えられます。とはいえ、同族間での権利金支払いは現実的ではない面もあるため、「土地の無償返還に関する届出」を提出する対応策もあります。(くわしくはこちらの国税庁公式をご参照ください。)

土地・建物所有方式

土地・建物すべてを資産管理会社が買い取ります。建物所有方式と同じで家賃収入の100%が資産管理会社の収入になります(地代なし)。土地まで買い取ることで、相続時に土地と建物の相続税が発生することはありません。

4つの所有スタイルのメリット、デメリット

4つの所有スタイルのメリット、デメリットについて見てみましょう。基本的な考え方としては、「相続人の資産を移転して所得分散をすること」が資産管理会社の設立目的になります。ここで注意したいのは、不動産所有者(オーナー)と、資産管理会社(給与を受け取るご家族など)のメリットが必ずしも一致しない点です。

たとえば、「管理受託方式」と「サブリース方式」の場合は、不動産を管理しているに過ぎず、資産管理会社を通して給与を受け取るご家族などにとっては、「初期費用がかからない」というメリットとなります。一方、不動産を所有するオーナーにとっては、「所得分散効果が高くないこと」がデメリットになるでしょう。このように、資産管理会社のメリット、デメリットというのは「視点を変えれば変わる」という点に留意すべきでしょう。

不動産所有者、資産管理会社の両者にとってメリットのある選択は?

収入確保という面では「建物所有方式」と「土地・建物所有方式」が他の2つの方式と比較してメリットが大きいと言えます。ここで言うメリットとは、あくまでも資産管理会社側の視点です。これも前項と同様、「不動産所有者側」と「資産管理会社側」という視点が変わればメリット、デメリットが入れ替わる可能性があります。

さらに「建物所有方式」と「土地・建物所有方式」を比べると、土地を資産管理会社の所有にする「土地・建物所有方式」だと初期費用が大きくなります。そのため、資産管理会社の立場で考えると、費用を回収するのに時間がかかることがデメリットです。また、不動産所有者の視点で考えても、建物だけでなく土地の売却代金が被相続人の現金資産になり相続資産が膨らむこと、譲渡税が発生することなどもデメリットになるでしょう。

一方の「建物所有方式」の場合、土地購入費用がかからないため、土地建物所有方式より運用利回りは大きくなります。合わせて、被相続人の現金資産が膨らむこともありません。このようなことから、資産管理会社、不動産所有者の両者から見て、「建物所有方式」がバランスのよい選択肢といえるでしょう。

とはいえ、先ほども触れた通り、不動産所有者・資産管理会社の立場が入れ替わるとデメリット&デメリットは入れ替わります。税理士や不動産の専門家などにアドバイスを求めつつ、最善の選択をするのが望ましいでしょう。
 

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