2019.6.10
相続・不動産

2030年100兆円産業「MaaS」丸わかり。不動産の価値が根底から変わる?

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
最近、「MaaS」という単語をよく見かけるようになったと感じている方も多いのではないでしょうか。MaaS(マース)とは、モビリティー・アズ・ア・サービス(Mobility as a Service)の略で、「サービスとしてのモビリティ(移動性、移動手段)」という意味です。MaaSは、私たちの暮らしに関わる身近な技術といえます。今回は、MaaSによって「将来どんな変化が起こるか」について見ていきましょう。

ウーバーでは電動飛行機によるMaaSの試験も

MaaSとは、自動車などの移動手段を必要なときだけ料金を支払って利用するサービスを指します。「カーシェアリング」や「オンライン配車サービス」などが代表的な例です。MaaSは、スマホアプリのみでルート検索や予約、決済までをすべて完了できる革命的なシステムです。現時点でMaaSの対象は自動車が中心ですが、ライドシェアリングのグローバル企業「ウーバー・テクノロジーズ」では、電動飛行機で都市を移動する「Uber Air」の試験を開始しています。

移動の便利さだけでなく、新たな体験に広がっていくMaaS

MaaSは、移動のみならず今後さまざまな分野に波及していく可能性があります。なぜなら、交通サービスはMaaSにおける「手段」ですが、そこから派生する「目的」にもさまざまな商機が生まれると予想されるからです。例えば、ショッピング施設や飲食店、病院など、交通サービスを利用しての行き先は多岐にわたります。

こういった施設と送迎をセットにした企画があれば、新たな利便性の高い体験が創出され、ビジネスチャンスが広がります。MaaSは言葉だけでは難しそうなイメージがありますが、システムとしては意外と簡単で、私たちに身近なサービスでもあるのです。

MaaS×不動産でどのような変化が起こる?

MaaSの普及は、不動産業界にも大きな影響を与えそうです。まず、MaaSが導入されることで自家用車なしでは移動が不便だったエリアでも自動車不足が解消され、不動産価値の上昇が見込めます。そのため、都心をターゲットにしながらも、郊外にも拠点を持つといったビジネス需要の広がりが見込めるでしょう。

また、マンションとカーシェアリング、レンタカー、配車サービスなどを一体化し、利用しやすいようにパッケージングした物件も出てくるかもしれません。このように発想を広げていくと、MaaSは不動産の価値を根底から変える可能性があるといえるでしょう。

MaaS×不動産 国内の実証実験はすでにはじまっている

東急電鉄は、2018年1月下旬から2ヵ月にわたって、さまざまなモビリティサービスを組み合わせた「郊外型MaaS実証実験」を東京都市大学、株式会社未来シェアの協力を得て実施しました。この実験で東急電鉄が行うサービスは、「ハイグレード通勤バス」「オンデマンドバス」「パーソナルモビリティ」「カーシェアリング(マンション内限定)」の4つです。

これらのサービスを組み合わせることによって、住宅街と駅の回遊性を高める狙いがあるようです。鉄道会社であれば、たいていは沿線の駅付近に系列のスーパーやグループ施設があるため、住民の回遊性が高まれば東急電鉄としてもメリットは大きいといえます。この実証実験をきっかけに、今後、他の沿線、東京以外のエリアでも郊外型MaaSが広がる可能性があります。

MaaSは近い将来、通販業界に匹敵する市場規模に

今後、MaaSの市場規模は、2030年には世界で100兆円の産業に成長すると予測されています。このうち国内市場は、2018年8~12月に行った矢野経済研究所の調査結果で、2030年に約6兆3,600億円の市場規模になるとされています。2018年度の市場規模は845億円程度と推定されているので、いかにこれから急成長する市場であるかが分かります。

これを他の産業と比較してみると、2016年度の国内通販売り上げが約6兆9,400億円なので、(日本通信販売協会の発表)、MaaSは近い将来、巨大市場である通販に肩を並べることになる見込みです。不動産、流通、医療の世界を根底から変える可能性があるMaaSは、私たちの価値観を再構築する一大革命なのかもしれません。

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