2019.7.8
相続・不動産

相続は遺言書をつくれば安心ではない。遺言執行者はもう決めた?

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
「相続は遺言書を作成しておけば安心」といわれていますが、それだけでは不十分です。なぜなら、相続発生時は遺言書通りの内容を実行することが大事だからです。そこで、キーマンとなるのが実行役を務める「遺言執行者」です。この遺言執行者の部分が遺言書に抜けているため相続トラブルになることも少なくありません。これから遺言書を作成する方、すでに作成された方も必見の情報です。

遺言執行者とは?執行者になれない人は?

遺言執行者とは遺言者の指定により、責任をもって遺言を実行する人のことです。遺言書によって指定されているため、相続人は実行を妨げることはできず、改正民法による法的拘束力があります。現状では相続時に選任が義務づけられているわけではありませんが、相続トラブルの心配なケースでは遺言執行者を選任しておく方が賢明です。くわしくは後述しますが、2019年7月1日から施行される改正相続法で権限が明確化になったため、役割がさらに大きくなります。遺言執行者は、未成年や破産者以外であれば、誰でもなることができます。法人が務めることも可能なため、信託銀行などが遺言執行者に選ばれることも多くあります。

もし、遺言執行者を指定しなかった場合は家庭裁判所に依頼し、相続人と利害関係のない人から選任してもらうことができます。

遺言執行者にしかできない仕事、遺言者執行者がした方がスムーズな仕事

具体的に、遺言執行者が行う仕事は大きく分けて2つあります。1つ目は、「遺言執行者にしかできない仕事」です。例えば、故人が遺言の中で行った子の認知や、相続人の廃除(または廃除の取り消し)を家庭裁判所に申し立て、法的な手続きを済ませることがこれにあたります。2つ目は、「遺言執行者がした方がスムーズな仕事」です。

こちらは、主に財産の名義変更や換金・解約などに関する手続きで、対象になるのは、預貯金、有価証券、自動車、不動産(遺贈の場合)などです。通常、これらの手続きには故人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明を法務局や金融機関に提出する必要があります。遺言執行者がこれらの手続きを代行することによって、煩雑な手続きを一本化できるのが大きなメリットです。

誰を遺言執行者に指名するのがベスト?

前述したように、遺言執行者は個人・法人ともに指定が可能ですが、多くの例では受遺者(遺贈を受ける者として遺言に指定された人)や相続人がなっています。その理由は、受遺者や相続人が遺言執行者になった方が、手続きの面で遺言の実現が容易になるためと考えられています。とくに不動産の遺贈があった場合、本来なら移転登記は遺言執行者(第三者の場合)と受遺者の共同申請で行う必要があります。

しかし、受遺者が遺言執行者であれば、単独で登記申請ができる点で便利です。一方で、当事者の相続人が遺言執行者になるとトラブルになりやすいことから、知見のある弁護士や税理士に依頼することも選択肢のひとつです。なぜなら、他の相続人からすると「遺言執行者が自分に都合のよい相続執行をするのではないか?」と疑念を抱くようなケースもあるからです。

「執行の手軽さ重視か」「トラブル回避重視か」は、選択する各自の判断次第ですが、それぞれのメリット・デメリットを十分に理解して決めることが大事です。

改正相続法で権限が明確になった遺言執行者

実は、これまで遺言執行者は「相続人の代理人」というあいまいな立場だったため、遺言の内容に不満を持つ相続人がいると、執行停止を求められ対立する可能性がありました。しかし、2019年7月1日に施行される改正相続法では、遺言執行者の権限の明確化が明記されています(新民法1007条、1012条-1016条関係)。

今回の改正によって、相続人は法的にも遺言執行者の行為を妨げることができなくなるため、遺言執行者の存在は今後ますます大きなものになっていくと予想されます。故人の想いが込められたのが遺言ですので、それを実行する遺言執行者の役割は極めて重要です。自身の想いを託せる人物を生前に選んでおくことも大切な「終活」のひとつといえるのではないでしょうか。

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