2020.10.21
相続・不動産

自営業者や不動産オーナーは要チェック!「青色申告控除」の変更ポイント

(写真=Pcess609/stock.adobe.com)
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2019年10月から消費税が10%に増税されるなどさまざまな税金の税率が上がっている中、減税になる税金もあります。その中の一つが自営業者や不動産オーナーなどが確定申告で計上する「青色申告控除」です。ただし内容をしっかりと理解して所定の手続きをとらないと減税の恩恵は受けられません。ここでは、変更点や確定申告時のポイントなどについて紹介します。

「青色申告控除」の上限と適用要件が変わる!

青色申告をしてきた人であれば2019年度までは「基礎控除38万円、青色申告特別控除65万円」の合計103万円の控除が受けられることはご存じでしょう。基礎控除は、所得税を計算するときに総所得金額などから引くことのできるものです。青色申告特別控除は、青色申告者の特典の一つで不動産所得や事業所得を得ているなど事業をしている人が対象になります。

2020年度分の確定申告では、青色申告控除の条件が変わるため注意しましょう。基礎控除は、48万円となり10万円アップ(減税)、青色申告特別控除が55万円と10万円ダウン(増税)の合計103万円の控除となるのです。つまり合計金額は変更前も変更後も103万円になるため「結果、何も変わらない」ことになります。

ただし電子申告または電子帳簿保存をした人に限り青色申告特別控除が65万円となり基礎控除と合わせて113万円の控除が適用されます。

変更後(2020年度分)の控除内容
電子申告の有無 基礎控除 青色申告特別控除 合計の控除額 結果
電子申告なし 48万円 55万円 103万円 変わらない
電子申告あり 48万円 65万円 113万円 10万円控除増

10万円の差ですが毎年のことなので積み重なると大きな差になります。電子申告の経験がない人は、できれば2020年度分の確定申告から始めて減税の恩恵を受けてはいかがでしょうか。ただ電子申告または電子帳簿保存はまったく新しいやり方になるため「デジタルは苦手」「手間がかかりそう」と腰が引ける人もいるかもしれません。

ここでは、そんな人でも抵抗がないよう、分かりやすさ重視で解説していきます。

「青色申告特別控除65万円」の適用を受けやすい人は?

まず青色申告特別控除65万円(合計113万円)の適用を受けやすい人と受けにくい人がいます。適用を受けやすいのは、これまでに「e-Tax(電子申告)を使って確定申告をしてきた」「電子帳簿保存法に完全対応した会計ソフトを使っている」といった人です。それぞれの内容や注意点を詳しく見ていきましょう。

選択A:e-Taxを使って確定申告をする人の場合

e-Tax(電子申告)とは、インターネットを通して所得税・消費税・贈与税などのさまざまな手続きがとれる仕組みのことです。自宅や会社のパソコンを使って税務署に確定申告の書類をインターネット経由で申告することができます。端的にいうと前回までe-Taxで確定申告をしてきた人は、例年通り申告をすれば青色申告特別控除65万円の適用を受けることが可能です。

e-Taxには、マイナンバーカード方式、ID・パスワード方式がありますが、どちらを選択しても特別控除65万円の適応になります。ちなみにマイナンバーカード方式もID・パスワード方式もはじめて利用する際は、所定の手続きが必要です。

・マイナンバーカード方式
マイナンバーカードの取得とICカードリーダライタの購入が必要です。

・ID・パスワード方式
税務署を訪問したうえでID・パスワードの交付をしてもらう必要があります。

※e-Taxについて詳しく知りたい人は、こちらの公式サイトをご参照ください。

・e-Taxを使って確定申告をする人の注意点
ただし税務署のパソコンを使って確定申告を行っても65万円特別控除の適応にはなりません。あくまでも自分(または会社など)のパソコンを使って国税庁のホームページ上に用意されたフォーマットで確定申告書や青色申告決算書のデータを作成し、e-Taxで確定申告することで適応になります。

選択B:電子帳簿保存法に完全対応した会計ソフトを使っている人の場合

青色申告特別控除65万円の適用を受けるには、 e-Taxを使った確定申告以外に「電子帳簿保存法に対応する会計ソフトを使った確定申告」を選択する方法もあります。電子帳簿保存法とは、貸借対照表や損益計算書などの決算関係書類をはじめ、仕訳帳や現金出納帳などの帳簿関係、請求書や領収書などの書類について電子データによる保存を認めた法律です。

書類の保存方法としては、電磁的記録(データ保存)が主で一部、請求書や領収書などのみスキャンによる保存が認められています。電子帳簿保存法に完全対応した(一部対応は不可)会計ソフトを使って確定申告をすれば特別控除65万円が適用されます。

・会計ソフトを使って確定申告をする人の注意点1
会計ソフトを利用した確定申告の注意点は、電子帳簿保存法に「完全対応」しているサービスでなければ特別控除65万円の適用になりません。スキャンのみなど一部対応しているサービスでは控除の対象外です。ちなみに利用者が相当数いる会計クラウドサービスでも完全対応はしていないものもあります。なお電子帳簿保存法に完全対応している会計ソフト例としては「やよいの青色申告」「弥生会計」「TKC財務会計システム」などがあります。

・会計ソフトを使って確定申告する人の注意点2
「電子帳簿保存法の承認申請書」を税務署へ事前に提出する必要があります。承認申請書の提出期限は、電子帳簿を付け始める3ヵ月前までです。ただし2020年分に限っては2020年9月30日までに承認申請書を提出し年内に電磁記録による仕訳帳および総勘定元帳の備付け・保存をすれば特例で認められます。

この期日に間に合わなかった人は、電子帳簿保存法に対応している会計ソフトを利用していても適用されないため、特別控除65万円適応にしたい場合、2020年分の確定申告はe-Taxを利用するのがよいでしょう。

「青色申告特別控除65万円」の適応を受けられない人は?

逆に特別控除65万円を受けられない人は、次の3つにあてはまる人です。
  1. 電子帳簿保存法に完全対応していない会計ソフトを使っている
  2. 完全対応している会計ソフトを使っているが「電子帳簿保存法の承認申請書」を期日までに提出していない
  3. e-Tax による申告を行わない
上記のうち1と2に該当しても e-Tax を使って確定申告を行えば特別控除65万円を受けることができます。

不明点がある方は「国税庁電話相談センター」のご利用を

青色申告控除のルール変更に「e-Tax」「電子帳簿保存」というまったく新しい仕組みが加わったことで混乱している人も多いのではないでしょうか。特に長年、税務署窓口で紙ベースの確定申告をしてきた人にとっては、これまでのやり方に慣れていた分、負担が大きいでしょう。税務署から送られてくる資料などを読んでも分からない場合は「国税局電話相談センター」に連絡するのも一案です。

多くの場合、待ち時間も少なく知識のある国税庁職員が相談にのってくれます。国税局の窓口ということで敷居が高いイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし大半の国税局職員は丁寧にアドバイスしてくれます。問い合わせたからといって名前など個人情報を聞かれることもありません。不安なことや分からないことはそのままにせず早めに解決しましょう。

※ 国税局電話相談センターへの連絡方法は、まず管轄の税務署に電話をかけ、自動音声案内で「1」を選択するとつながります。


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