2020.11.4
相続・不動産

納付済みの相続税が土地の再評価で戻ってくる?「更正の請求」の仕組み

(写真=keatikun/stock.adobe.com)
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気づかないうちに相続税を収めすぎている……そんなケースが数多くあります。たとえ顧問税理士に相続税評価を依頼していても、他の専門家に依頼したら評価額が大きく下がった事例も少なくありません。特に相続財産に不動産が含まれていた場合は要注意です。相続税が戻ってくる仕組みや納め過ぎの原因などについて解説します。

納め過ぎた税金が戻ってくる「更正の請求」とは

はじめに相続税が戻ってくる仕組みを再確認しておきましょう。相続税に限らず税金には「更正の請求」という手続きがあります。これは納めた税金が多すぎた場合に誤って申告したことを税務署に届け出るものです。具体的には、税務署で用意されている「更正の請求書」の用紙を使って届け出ができます。

他の方法として国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成したデータをe-Tax(電子申告)送付や郵送することで届け出ることも可能です。ただし提出された「更正の請求書」は、そのまま受理されるのではなく税務署で検討して最終判断が下されます。納め過ぎの税金があると判断されたときには、請求者にその内容が通知されて税金が還付されるのです。

ちなみに相続税の「更正の請求」ができる期間は、相続税の申告期限から5年以内となっています。

相続税の払い過ぎが起きやすい3つの原因

「相続税を払い過ぎてしまうケースなんてそんなにあるの?」と感じる人もいるかもしれません。しかし実際に別の専門家が再評価したら「払い過ぎていた」ということは十分あり得ます。なぜなら相続税の払い過ぎが起きやすい以下のような3つの原因があるからです。

1.土地の評価を下げた

1つ目の原因は、土地の評価額を下げるパターンが相当数あることです。自宅・賃貸物件・別荘など相続の対象となる資産に不動産が含まれるケースは多いでしょう。不動産はまったく同じ条件のものがないだけに評価の難易度が高いといわれています。たとえ相続に強い専門家といっても評価額を下げるパターンを見落としやすいのです。
※具体的にどのようなパターンがあるかについては次項で解説します。

2.税理士が相続税と不動産に詳しくなかった

2つ目の原因は、相続税を計算した税理士が必ずしも相続税と不動産の両方に詳しくないことが挙げられます。医者であれば「内科」「耳鼻科」「整形外科」などの専門分野が掲げられていますが、税理士は得意分野が標ぼうされているわけではありません。そのため気づかないうちに相続に不慣れな税理士に依頼している可能性があるのです。

仮に相続税に詳しい税理士でも不動産の専門家ではありません。同じ土地を評価しても税理士と不動産の専門家では結果が違うこともあり得ます。

3.払い過ぎても税務署は教えてくれない

3つ目の原因は、相続税を払い過ぎても税務署がそれを指摘してくれるとは限らないことです。「払い過ぎに気づいていても指摘してくれない」「払い過ぎにそもそも気づかれていない」などもあるでしょう。いずれにしても納税者本人が税金を払い過ぎに気づくことはありません。

国税庁が紹介している土地の評価額が下がる例

相続税を払い過ぎてしまう原因として1つ目に挙げた「土地の評価額を下げるパターンが相当数ある」の部分をさらに深掘りしていきましょう。具体的に土地の評価額を下げるには、どのようなパターンがあるのでしょうか。国税庁ホームページ(No.4617)によると「利用価値が著しく低下している宅地」は控除額を多くして評価することができると解説しています。

利用価値が著しく低下している宅地の代表的な例は以下の3つです。
  • 道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地でその付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
  • 地盤に甚だしい凹凸のある宅地
  • 震動の甚だしい宅地
いずれの土地も一般の宅地として扱いにくく、利用時にかなりの造成費用がかかることが予想されます。さらにこれら以外にも利用価値が低下している宅地例として「騒音、日照阻害、臭気、忌みなど」も挙げられています。忌みとは例えば墓地がすぐ裏手にあるような土地のことです。

取引価格が相場よりも安い土地も評価減になりやすい

国税庁が具体的に挙げた事例以外でも土地の再評価をすることで相続税還付の可能性があるケースはたくさんあります。なぜなら国税庁では「取引金額に影響を受けると認められるものであれば利用価値が著しく低下している宅地」と規定しているからです。取引金額が相場よりも低い代表的な土地は、不整形地や形がいびつな土地などがあります。

あわせて土地に面している道路の状況も評価に影響を与えかねません。評価額が下がりやすいのは、以下のようなケースです。
  • 道路に接していない
  • 周囲の道路幅が狭い
  • 私道にしか接していないなど
土地の条件としては問題なくても周辺環境の影響を大きく受けて評価額減になっているケースもあります。
  • 高圧線下の土地
  • 頻繁に電車が通る線路沿い
  • 空港近くの土地など
これら以外にも利用価値が低下している宅地と認められるパターンは数多くあります。しかしそのすべてを把握するのは難しいため「これはマイナス材料ではないか?」と疑われるものがあれば不動産鑑定士などの専門家に一度確認してみるのがよいでしょう。

関係法規のチェックや評価方法の変更で評価額が変わることも

土地を規制する法律や条例にあてはまることで相続税評価額が下がることもあります。その代表的なものは、都市計画法や建築基準法などです。また土地の評価方法を変更することで相続税評価額が変わるケースもあります。例えばマンション敷地とそれに隣接する駐車場を別々に「貸家建付地」として評価していたものを一体で評価することによって大幅に評価額を引き下げる手法です。

マンション敷地とその駐車場が独立していれば(離れていれば)別々の相続税評価になりますが、隣接していれば一体評価もできます。こういったことを熟知している専門家に評価を依頼するとしないとでは、結果が大きく変わってくるのは当然といえるでしょう。

土地の再評価を相談できる専門家探しのコツ

土地の再評価の相談にのってくれる専門家の候補は、税理士・不動産鑑定士・土地家屋調査士などです。ただ前述したように税理士が相続や不動産に強いとは限りません。例えばホームページなどで「相続専門」とうたっているからといってもその税理士が本当に相続に強いとは限らないのです。相続案件を獲得するために相続専門と強調している可能性もあります。

また不動産鑑定士や土地家屋調査士は、土地の鑑定や調査ができても相続のコンサルティングができないケースもあるでしょう。相続と不動産の両方に強い専門家が見つかればいいのですが、難しい場合は相続に強い税理士を見つけて不動産鑑定士などを紹介してもらうことも方法の一つです。また税理士と不動産鑑定士を別々に見つけて依頼者が間に入って連携してもらう方法もあります。

信頼できる専門家がなかなか見つからない場合は、相続に強い不動産会社に相談してみるのも一案です。特に規模の大きい総合不動産会社は、相続に強い士業の人たちと連携・提携していたり社内に不動産鑑定士の有資格者がいたりすることも少なくありません。

冒頭で記載した通り相続税の還付手続きが可能なのは「相続税の申告期限から5年以内」です。その間に現地調査や測量などの手続きがあるため、土地の再評価をしたい人は早めに着手するのが賢明でしょう。


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